ぱっくんちの日々。詰まらんことをかきかき…。
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「山登り、とか」
急に言葉を出すのはいつものことだったけれど、激しいインドアな告天子の口から登山なんてアクティブな言葉が出てくるとは思ってもみなかった。
「君、したことある?」
「あるよ。中学ん時、遠足で登ったりした」
「全員?」
「ん、1年と2年んとき全員で登った」
難儀だね、頬杖をついて疲れた顔を見せた告天子はどうやら登ったことがなさそうだ。
「そーゆーの、告天子の中学にはなかったわけ?」
「あったけど、行ってない」
インドアな告天子を知る人は、大方サボりだろうと思いがちであるが実のところ、おそらく、違う。
告天子はこう見えて、過酷な過去を経験している。
ま、表には出さないし、告天子自身重大なことだとは思ってないようなので知る人は少ないが。
「で、なんで急に登山?」
インドア街道まっしぐらな告天子が外に出たのを俺は今月に入ってから知らない。ひょっとすると太陽の光に当たったら融けてしまうんじゃないだろうか。いや、これはドラキュラか。たまに噛み付いてきたりするが、歯は犬歯以外とがっていないし、血もすわないので吸血鬼説はない。
単にインドアであるだけだ。
そんな告天子の突然の物言い。
「もしかして、登りたくなった?」
「馬鹿じゃないの」
何故か罵倒された。
「ちょっと聞いてみただけだよ」
そうして告天子は口を閉じてテレビを眺めた。
しばらく何か言わないか待っていたが、彼の黒曜の瞳はじっと液晶画面に向けられているし、
俺の発言を催促するような行動もなかった。
「……」
ほんとに聞いただけだったんだ。
聞いてみた、だけ。
まあ良くあることなのだけれど、俺は肩を落とさずにはいられなかった。
こんな生活を何年していることだろう。
告天子の自由さは日々高度化していき、進化して俺の予想をはるかに超えるようになってきた。
もし、俺がいなくなったら告天子は生きていけるんだろうか。
意思疎通が出来なくて世間の隅に追いやられたりしないだろうか。
それが心配でならない。
ふと隣を見れば、丸い頭がうつらうつらと舟を漕ぎ出した。
「ひーちゃん、毛布持ってくるから横になって良いぞー」
短く、ん、とだけもらして華奢な身体はソファーにころがった。
以前に言ったことがある。
もし、俺がいなくなったら、と。
そのとき告天子は。
「ねえ、布団持ってきてよ。羽毛布団」
本格的に寝るつもりなのか、こいつは。
寝室からご要望の掛け布団を抱えて戻ってきたときには告天子はもう夢の中だった。
そっとかけてやると待ってましたとばかりに布団に巻きつき、猫のように丸まる。
「夕飯までには起きてくれよな」
あのとき、
もしも、の話で。あんまりにも告天子が自由で心配になったから。
ちょっとした冗談で言おうと思った。もし俺がいなくなったら、どうするんだ、と。
俺がいなくなったら、と言いかけたとき、告天子は俺の言葉にかぶせて言った。
『そんなの許さない』
ぶっきらぼうに、むしろ束縛の言葉であるのに突き放すように言われたその言葉に、
俺はあの瞬間、何を思ったのだったろうか。
思わず抱きしめた告天子の体が小さく震えていたのをよく覚えている。
「なあ、告天子」
返事は無い。
「今度、山、登ろうぜ」
羽毛布団の玉は動かない。
「ひっくい山でいいから、一回くらい登山、しよーぜ。たまには外に出てさ、日に当たらないと」
融けたりしないけど、病的なくらい白いその肌が焦げ目をつけた様子をみてみたい。
ちょっと長い間歩く散歩みたいにしてゆっくり登って、弁当食べて、ゆっくり降りればいい。
それくらいなら、インドアの彼だって出来るはずだ。
チャンネルをバラエティーに変えて、無関心に眺めていると、白い指が俺の頬をつまんだ。
「馬鹿じゃないの」
眠そうな声が、俺を罵倒した。
急に言葉を出すのはいつものことだったけれど、激しいインドアな告天子の口から登山なんてアクティブな言葉が出てくるとは思ってもみなかった。
「君、したことある?」
「あるよ。中学ん時、遠足で登ったりした」
「全員?」
「ん、1年と2年んとき全員で登った」
難儀だね、頬杖をついて疲れた顔を見せた告天子はどうやら登ったことがなさそうだ。
「そーゆーの、告天子の中学にはなかったわけ?」
「あったけど、行ってない」
インドアな告天子を知る人は、大方サボりだろうと思いがちであるが実のところ、おそらく、違う。
告天子はこう見えて、過酷な過去を経験している。
ま、表には出さないし、告天子自身重大なことだとは思ってないようなので知る人は少ないが。
「で、なんで急に登山?」
インドア街道まっしぐらな告天子が外に出たのを俺は今月に入ってから知らない。ひょっとすると太陽の光に当たったら融けてしまうんじゃないだろうか。いや、これはドラキュラか。たまに噛み付いてきたりするが、歯は犬歯以外とがっていないし、血もすわないので吸血鬼説はない。
単にインドアであるだけだ。
そんな告天子の突然の物言い。
「もしかして、登りたくなった?」
「馬鹿じゃないの」
何故か罵倒された。
「ちょっと聞いてみただけだよ」
そうして告天子は口を閉じてテレビを眺めた。
しばらく何か言わないか待っていたが、彼の黒曜の瞳はじっと液晶画面に向けられているし、
俺の発言を催促するような行動もなかった。
「……」
ほんとに聞いただけだったんだ。
聞いてみた、だけ。
まあ良くあることなのだけれど、俺は肩を落とさずにはいられなかった。
こんな生活を何年していることだろう。
告天子の自由さは日々高度化していき、進化して俺の予想をはるかに超えるようになってきた。
もし、俺がいなくなったら告天子は生きていけるんだろうか。
意思疎通が出来なくて世間の隅に追いやられたりしないだろうか。
それが心配でならない。
ふと隣を見れば、丸い頭がうつらうつらと舟を漕ぎ出した。
「ひーちゃん、毛布持ってくるから横になって良いぞー」
短く、ん、とだけもらして華奢な身体はソファーにころがった。
以前に言ったことがある。
もし、俺がいなくなったら、と。
そのとき告天子は。
「ねえ、布団持ってきてよ。羽毛布団」
本格的に寝るつもりなのか、こいつは。
寝室からご要望の掛け布団を抱えて戻ってきたときには告天子はもう夢の中だった。
そっとかけてやると待ってましたとばかりに布団に巻きつき、猫のように丸まる。
「夕飯までには起きてくれよな」
あのとき、
もしも、の話で。あんまりにも告天子が自由で心配になったから。
ちょっとした冗談で言おうと思った。もし俺がいなくなったら、どうするんだ、と。
俺がいなくなったら、と言いかけたとき、告天子は俺の言葉にかぶせて言った。
『そんなの許さない』
ぶっきらぼうに、むしろ束縛の言葉であるのに突き放すように言われたその言葉に、
俺はあの瞬間、何を思ったのだったろうか。
思わず抱きしめた告天子の体が小さく震えていたのをよく覚えている。
「なあ、告天子」
返事は無い。
「今度、山、登ろうぜ」
羽毛布団の玉は動かない。
「ひっくい山でいいから、一回くらい登山、しよーぜ。たまには外に出てさ、日に当たらないと」
融けたりしないけど、病的なくらい白いその肌が焦げ目をつけた様子をみてみたい。
ちょっと長い間歩く散歩みたいにしてゆっくり登って、弁当食べて、ゆっくり降りればいい。
それくらいなら、インドアの彼だって出来るはずだ。
チャンネルをバラエティーに変えて、無関心に眺めていると、白い指が俺の頬をつまんだ。
「馬鹿じゃないの」
眠そうな声が、俺を罵倒した。
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プロフィール
HN:
ぱっくんち
HP:
性別:
女性
職業:
がくせー
趣味:
人間観察・妄想(笑
自己紹介:
支離滅裂×天上天下
×唯我独尊×自己中心
÷自由気まま=性格
主成分
70%→寝たい
居眠りは大概右に傾く
人見知りが激しく、
てか、知ってる人を
見つけたときのほうが
逃げ腰
警戒しはじめると黙る
機嫌が悪くなると黙る
弟三人持ちとは思えない
激しく上下する喜怒哀楽と
我がままっぷりは
たぶん
誰にも負けない(威張るな
そんな奴です
何かあればこちらまで
pk_yh*yahoo.co.jp
(*を@に変換ください)
×唯我独尊×自己中心
÷自由気まま=性格
主成分
70%→寝たい
居眠りは大概右に傾く
人見知りが激しく、
てか、知ってる人を
見つけたときのほうが
逃げ腰
警戒しはじめると黙る
機嫌が悪くなると黙る
弟三人持ちとは思えない
激しく上下する喜怒哀楽と
我がままっぷりは
たぶん
誰にも負けない(威張るな
そんな奴です
何かあればこちらまで
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